情報系の学部を出てる人には分かること
「真に頭がいい人」は課題の眺め方が全然違う | 深掘り!医学部入試の知られざる世界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
こんなんがちょっと話題になってましたが、正直、受験戦争を勝ち抜いてきた人は、こうした訳わからん非現実的問題をたくさんしてきたので、いちいち突っ込まないわけです。
それに、この程度の問題がおかしいと気づく人が「数値感覚が一般人と違う」というにはあまりにも乱暴。細かいことを無視すれば、情報系の学生、卒業生なら以下のような計算を頭の中ですぐに計算ができます。
まず、1分39秒とは99秒ですが、計算を簡単にするために 100 秒で考えます。必要があれば、最後に 1/2 することにしましょう。
さて、2^100 がだいたいどのぐらいの桁かというのは
LOG(2^100) = LOG(2^(10 * 10)) = 10 * LOG(2^10) ~= 30
※ LOG() は 10 を底とする対数、いわゆる常用対数
※ 2^10 = 1024 は、他の分野の人はどうか知りませんが、情報系では九九より頻繁に出てくるので、情報系の人なら暗記しているはず
と、約30桁です。オーダーの計算をしたいだけなので、ここで一辺が一メートルの巨大なビンを仮定します。そのビンがいっぱいになるということは、ひとつの細胞の体積は 10^-30 ㎥、これまた細胞が立方体として単純化すると、一辺はその3乗根、10^-10m です。SI 単位系は 3 桁区切り(ミリm, マイクロμ, ナノn, ピコp, ...) なので、これは 0.1 nm というとになります。
というわけで、一辺 1m のビンの中身がいっぱいになったということは、中に詰まってるものは、一辺 0.1 nm の立方体ということになります。と、ここまで計算するのに、10秒かからないでしょうし、紙も鉛筆もいりません。文章にすると長いですが、暗算できる範囲です。
あとは、さくっと Google 先生に「細菌の大きさ」と聞くと 1μm ぐらいと出てくるので、4 桁違い、1万分の1です。なので、もとのビンが一万倍大きければ辻褄が合います。
ということは、単純計算で、100秒で一辺 10000m の「ビン」に細菌がすし詰め状態になります。本来の問題は99秒だったことを考慮し、それを半分にするとして、結論は、実はそのビンは10km 四方、高さ 5000m の直方体ぐらいの大きさであった、ということになります。
僕は東大理Ⅲに行くような頭はありませんが、これぐらいのことは情報系の学生なら全員とは言わないまでも、半分ぐらいの人はできると思います。
東大理Ⅲに行くような人は、特殊な数値感覚の持ち主である可能性は否定しませんが、取り上げられている例では全く説得力に欠けます。